めまいについて
めまいでは、症状の中で、「ぐるーっと回る回転性のめまい」か、「ぐらぐらゆれるような動揺性のめまいか」が、ひとつのポイントです。
また、めまいが起こるときの状態、例えば「体や頭を動かしたときに起きる」か、「安静にじっとしていても起きる」か、「朝起床時や布団に体を横たえる時、寝返りをうつ時はどうか」なども重要です。
めまいの中で、一番見落としてはいけない疾患が、脳の異常です。
脳卒中(脳出血や脳梗塞)によるめまいは、時として命にかかわることがあり、また、脳腫瘍によるめまいも、診断が遅れればその後の経過に大きく影響することがあります。
神経内科疾患によるめまい(難しい神経の病気)が隠れていることもあります。
めまいのみを症状として病院を受診される患者さんの原因を調べたとき、脳が原因である場合は、
わずかに3%程度といわれています。
ほとんどの場合、内耳といわれる耳の内側に原因があります。
内耳には体の平衡感覚をつかさどる三半規管と、聞こえの神経のセンサーである蝸牛があります。
この2つは数mmしか離れていないため、内耳が悪くなると三半規管の異常から来るめまいの症状と、聞こえが悪くなる難聴がセットで来る場合が多くあります。
難聴は、聴力全体が悪くなる場合と、低音域など一部が悪くなる場合があります。
聴力を調べることでも、どちらの内耳が悪くなっているかがわかります。
耳鼻咽喉科では、三半規管の働きの検査と、聴力の検査を行います。それで、どちらの内耳が悪くなっているかを調べます。
めまいの中で一番頻度が多いのは、良性発作性頭位めまい症という病気なのですが、これは難聴が起きません。しかし三半規管の検査をすれば、割合簡単にわかります。有名なメニエル病も、外来での検査で多くがわかります。めまいの診断には耳鼻咽喉科の検査が欠かせません。
ぜひ、早い時期に耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。
めまいの治療に、めまいのリハビリがあります。
リハビリの効果がある患者さんは、前提機能異常(三半規管などの異常)が原因のめまいで、急性期が過ぎた人です。その診断・判断は、当院や耳鼻咽喉科でご確認ください。
このページの一番下に、めまいのリハビリのやり方がありますのでご参考ください。
症状別の原因と特徴
1.良性発作性頭位めまい症
軽い吐き気を伴うことがありますが、耳鳴りや難聴が一緒に起こることはありません。
めまいを起こす頭位や体位を繰り返しますと、めまいは次第におさまります。
原因
耳石器の機能異常といわれている。
特徴
頭をある特定の位置に動かしたり、寝返りをうったときなどに短時間の回転性めまいが起こる。
2.メニエール病
めまい発作がおさまれば聴力はもとに戻りますが、めまい発作を何回も繰り返しているうちに、聴力は次第に悪くなります。
原因
内リンパ水腫(内耳に水がたまる)といわれているが、まだよくわかっていない。
特徴
- 回転性のめまい発作を繰り返す。
- めまい以外に耳鳴りや難聴を伴う。
- 吐き気や嘔吐、冷感、血圧の変動などの自律神経症状も起こる。
3.前庭神経炎
めまいの程度は強いことが多いです。
大きなめまいは一度きりのことが多く、また、耳鳴り、難聴は伴いません。
原因
ある日突然激しい回転性めまいが起こる。
特徴
風邪の後に起こることが多いといわれている。
4.椎骨脳底動脈循環不全症
めまいの種類は回転性が最も多いですが、浮動性のものや眼前暗黒感もみられます。
このめまいは中高年の方や高血圧症、高脂血症がある人によくみられます。
原因
脳を流れる椎骨動脈の血流量の減少が考えられている。
特徴
めまいと同時に視覚障害(ものが二重に見えるなど)や、意識障害(気が遠くなる感じ)、構音障害(言葉がしゃべりにくくなる)を伴う。
5.聴神経腫瘍
腫瘍が大きくなると吐き気や意識障害を伴い、生命に関わる状態になることもあります。
原因
聴神経に発生した腫瘍。
特徴
片側の耳鳴り、難聴とともに、浮動性のめまいを伴う。
6.突発性難聴
めまいを伴う場合、大きなめまい発作は一度きりで繰り返すことはありません。
めまいはいずれ治りますが、聴力は早く治療しないと戻らないことがあります。
原因
原因は不明であるが、内耳のウイルス感染、内耳の血流障害などが考えられている。
特徴
ある日突然に、耳が聞こえなくなり、激しい回転性のめまいを伴う場合もある。
7.脳梗塞によるめまい ※脳血管障害(脳卒中)によるめまい
原因
脳血管の血流量の減少や脳血管の閉塞。
特徴
構音障害(言葉がしゃべりにくくなる)、意識障害(気が遠くなる感じ)、視覚障害(ものが二重に見えるなど)などの神経障害が主症状で、めまいは椎骨脳底動脈系の梗塞でよくみられる。
8.脳出血によるめまい
原因
脳血管の破裂による内部出血
特徴
出血した部位によって症状は様々で、頭痛だけの場合や半身不随に陥ることもある。
めまいは大脳出血では起こりにくく、延髄、小脳の出血で起こることがある。
9.頸性めまい
原因
頸部の骨、筋肉、靭帯の異常によるもの。
特徴
首を回したり、伸ばしたりすることによって生じるめまいで、耳鳴り、難聴などの蝸牛症状は伴わない。また、めまい以外に頭痛、嘔気、冷感、各種不定愁訴を訴えることがある。
その他
- 起立性調節障害によるめまい
- 更年期障害によるめまい
- 心因症によるめまい
めまいのリハビリ
リハビリの方法
首振り法とBrandt-Daroff 法をご紹介します。
首振り法を、下記のStep1から始めて、症状がよくなるようならStep2,3,4へと進んでください。
調子が良ければ、Brandt-Daroff 法も試してください。
無理をせず、先生と相談しながらリハビリを行いましょう。
下の「リハビリ内容」の中の動画を再生して、見ながら行ってください。
1. 首振り運動
Step1 | 1点注視下の首振り運動(水平) 30秒/回 4回/日 |
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Step2 | step1 + 1点注視下の首振り運動(垂直) 30秒/回 4回/日 |
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Step3 | 対側へ動く指標注視下の首振り運動(水平) 30秒/回 4回/日 |
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Step4 | step2 + 対側へ動く指標注視下の首振り運動(垂直) 30秒/回 4回/日 |
2. Brandt-Daroff exercise(ブラントダロフ法)
ブラントダロフ法 5回/回 2回/日 |
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