2015年スマホの旅
2015/12/08今日の午後、学校医を引き受けている長津田の田奈中学校の保健委員会の生徒がクリニックにやってきました。
僕は現在、いぶき野小学校、上山小学校、山下みどり台小学校、田奈中学校、和光鶴川小学校、星槎中学校、星槎高校の学校医を引き受けています。小児科標榜医と違って耳鼻咽喉科は少ないので、一人で複数の学校医の掛け持ちが一般的です。学校医の仕事としては、4月から6月までの3か月間に学校検診に行くのですが、春休みやGWもあるこの時期、それぞれの学校に検診に伺うのはスケジュールが大変です。しかし、地域医療を担うものとしてやりがいのある仕事です。
さて、男子2名、女子3名が養護の先生とわざわざやってきたのは、1月に学校で行う保健委員会の発表のためのインタビューでした。委員会のテーマは「スマホと健康について」というものだそうです。
いかにもの話題ですね(笑)。
普通に考えると、世の大人の意見として「スマホいじってばかりいると勉強しなくなるから、スマホ禁止!もしくはスマホ時間制限1時間!」という声が聞こえてきます。
僕が彼らに伝えたのは2つです。
1つは耳鼻咽喉科医として。2つ目は現代を生きる先輩としてのアドバイスです。
1つめ、スマホの多くの機能の1つ、音楽プレーヤーの利用です。イヤホンステレオでの大音量での音楽聴取は、騒音性難聴を引き起こす可能性があります。100dBの音をイヤホンで15分聞くと高音域の神経性難聴が起こることが報告されています。実際には外への音漏れをするほどの音で音楽を聴く人はあまりいないでしょうが、成長期の子供の場合もっと小さい音でも起こる可能性もあり注意が必要です。
これは、ライブハウスやコンサート会場やクラブなどでも起こることがあり、実際に当院でも年に数人の若者が難聴症状を訴えて受診します。極端な例では、運動会のスターターピストル係の先生の受診もありました。徒歩通学の中学生では校則の関係でまずありませんが、電車通学の高校生以上だと時々音漏れ君もいますし、人は騒音の中ついつい音を大きくしてしまう傾向があるため注意が必要です。
さて、2つ目。スマホは驚くほど便利な道具です。生徒諸君と数えたのですが、スマホが持つ機能は、電話、メール、SNS、ネット検索、カメラ、アルバム、スケジュール帳、ノート、時計、辞書、地図、音楽プレーヤー、計算機、財布、メモ、本、楽器、ゲーム、他にも幾多の可能性を秘めた機械です。まさに人間の英知を秘めた夢の発明品といえるでしょう。
それだけに、メリットはたくさんある。そしてデメリットも。そのバランスを上手に取って使おう、と。大人はデメリットを指摘しがちだけれど、メリットをまず知って、それを美味しく利用しながらデメリットと立ち向かおう、と。
こんなに魅力的な機械は、今の大人が子供のころにはなかった。大人だってうまく使いこなせない人が多く、スマホ中毒や依存の人は多い。昼間電車に乗ると、7~8割の大人はスマホをいじってるよね。起きている大人の(笑)。それがいい悪いじゃなくて、見ているとやはり滑稽な気がする。
大人だって付き合い方がよくわからないモンスター。君たちは子供のころからスマホが周りにあるまさに「新人類」なんだから、むしろスマホとの上手な付き合い方を発明して、大人たちに教えてあげてほしい。
そんなことを子供たちと話した昼休みでした。
ちなみに、最後の記念写真もスマホで、でした(笑)