日曜日の恐怖
2010/6買っちゃいました。
IPad、すごいですねえ。なんだか、ちょっと未来気分。
世の中、すごいことになっているんだと思うと共に、背中に冷たいものを感じました。
医者になったころ、時代はバブルの名残にしがみついていました。
高校の同級生達は立派な社会人で、ダブルのスーツなんかを着てキラキラしていました。
学生時代、ホンマもんのバブルおやじ達がいかついショルダーフォンをかついで同い年の女子大生をむしゃむしゃ食べているのを横目で見ながら、何か違和感を感じていた僕はついに1年間日本を飛び出し、今で言う自分探しの旅に出ました。
帰国した僕を待っていたのは、何も変わらない世の中だったのですが、何か自分がひとかどの人間なっているような気がして、世間を斜に眺めていました。自分を新しい世界人のように感じていました。
「なんちゃあ成し遂げていない」ことに、気がついていなかったんですね。
大学に戻り、それまでの自分が別人のように勉学に励みました。(同級生から、うそつき!と言われるかな)
医者になり、修行時代は半年に20回しか家に帰らずに病院に住み込んで仕事に熱中していた頃もありました。仕事ばかりしている自分の姿に酔っていたのかもしれません。普通に考えると、いつも汗臭い下っ端の医者って、ちょっとキモイですよね。
そんな頃、やはり自分へのご褒美が欲しくて、まだ回りの若手の医者がポケベルだった中で手にしたのがドコモの携帯電話でした。
電話機自体が10万円以上したでしょうか。サイズも、今では考えられないずんぐりしたボリューム。
新人類ぶっていても、バブルおやじ達のおもちゃに憧れていたのですから笑えますね。
そんな幼稚な宝物も、やはり生活の必需品になり、何回も新しい機種に乗り換えた後も、愛着があってなんとなくドコモから離れずにいます。
IPhonが出た後、どうしようか踏ん切りがつかないまま日々を過ごしている中で、うすうす気がついていました。
すごいスピードで進化していく世の中で、新しいものをちょっと疎ましく思っている自分に。
これは、漠然とした恐怖でもあります。
僕は今、TVの録画の予約ができるんだろうか。
ブルーレイ対応のHDレコーダーデッキは持っています。
この2年はHDハンディカムカメラで子供の運動会のシーンを撮り、ブルーレイに落とせるスペックのパソコンも持っています。
しかし、時間がないという言い訳を隠れ蓑に、やっちゃいないんですよね。
まずいまずいと思いながら、夏休みの宿題が手付かずで、来週から2学期だよ状態です。
そんな中、IPadです。
これをきっかけに、時代の最先端、とんがり人間になるぞ!と勇み立ちました。
ところが・・・ いろいろセッティングするのに、日曜日丸一日かかりました。
メールの準備、パソコンや携帯電話との連携を整えるのに、ソフトバンクやドコモに電話しながら汗だくです。
日曜日の長い散歩を約束している飼い犬のウィリーに謝りながら、まあ、何とか出来上がって、やっとビールです。
途中はいい。黙ってりゃあ、僕も最先端のデジタル人間の仲間入りです。
しかし、なんの説明も聞かず、楽々とIPadを使いこなす息子の姿を見ると、ぼんやりした恐怖は続きます。