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レーザー治療、睡眠時無呼吸症候群

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5年目の3.11

2016/03/11

160311
今年も3月11日が廻ってきました。
5年前のこの日、私たちの国は大きな災害にみまわれました。地震と津波で尊い命がたくさん失われ、安全と思われていた原子力発電所が大きな事故を起こしました。この国の在り方を変えてしまう様な大災害でした。そしてその悲しみを癒すこと、たくさんの町で生活を立て直すことに多くの努力が行われています。
しかし、時間は冷静に過ぎていきます。

大都市では震災の記憶は徐々に薄まっており、人々の考えからも支援の気持ちがまだらに失われています。たくさんの出来事や過剰な情報が飛び交う現代では、原発が爆発し2万人の人が亡くなる大事件の衝撃ですら、幾多のキャチーな事例やスキャンダラスな情報にどんどんすり減らされてしまいます。
後に残るのは悲しみや苦しみに暮れる一部の人達の心に続く重圧感と、いい意味でも悪い意味でもお役所仕事の事後処理です。しょうがないことですが、遠くの人達からの無関心。それはあたかもやわらかい攻撃のように思います。

昨年暮れのパリでの痛ましいテロ事件の時、「心を寄せる相手として、理不尽に攻撃されたシリアの難民たちを忘れるのは不公平ではないか」、という議論がありました。まったくその通りだと思います。
本当に残念なことに、世の中は、歴史は、公平ではありません。
それは大人になった私たちはもうすでに気が付いていること。しかし、そのままでいいとか、もっと悪くするとか、そこに付け込んで利用することはしたくありません。
不公平な世の中を少しでも良くするために考え行動することが、人間の進歩と幸せへの道であることは間違いありません。そうした活動に寄り添う手助けの1つが宗教だと思います。僕は、宗教とは愛と平和の取扱い説明書だと思っていました。宗教がある人たちのモラルは高いと。

ところが、いま世界を見ると、キリスト教社会とイスラム社会の対立が悲劇の源になっている観があります。排他主義と経済問題がややこしくからみあい、こじれきっています。宗教はむしろ世界平和のために障害となる場合があり、それが現在の世界です。世の中から一切の宗教が無くなること、それは戦争がない世界と同じくらいありえないことなのでしょう。
私は平凡な日本人として、あまり熱心でない仏教徒です。ある時はキリスト教のイベントで意味もなく盛り上がり、ある時は社会主義社会の幸福を夢見て、ある時は太陽神を祭るフラダンスを楽しむ日本人の一人。宗教に対して鷹揚でいるこの社会に、世界情勢への解決のカギがあると思います。

そして、5年目の3.11。
私たちがしなければいけないこと、なんて大袈裟なことは多分ありません。ただ、困っている人たちに寄り添う気持ちを忘れないようにしたいものです。そして不公平な世の中をちょっとでも戻す機会があった時に、出来ることをする。眺めているだけでなく何かをしてみる。そういう気持ちで毎日を過ごしていきたいと思っています。