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レーザー治療、睡眠時無呼吸症候群

blog ナゴブロ 院長ブログ

ソチと偽者とプロ

2014/02/20

ソチ・オリンピックの日本選手たちの活躍、素晴らしいですね。
メダルを取っても取らなくても、本気のトップアスリートは美しい。それは、国境を越え、言語、宗教、習慣を超えて、全力で頑張った人たちに通じる気高さなのでしょう。

今、気になる残念な話が2つあります。
偽ベートーベン事件と、バリ島のダイビングツアー事故です。

偽ベートーベンは、ちょっと胡散臭い気がしていたんだけど、マスコミに煽られちゃったなというところでしょうね。野村佐知代さんがコロンビア大学出ているってホントかな、という違和感のような。
ゴーストライターが実は人間的にも素晴らしい才能ある芸術家だったとか、NHKが騙されちゃうなんて本気の詐欺は怖いとか、話題は尽きません。
しかし、世の中の芸術的評価というのは所詮、権威ある人の導きである程度は決まります。マーケティングとセールスも重要。バスキアは食えたが、ゴッホは食えなかった。世代を超えて評価されるものかどうかは、歴史が決めることです。しかし、売れた楽曲が本物か、そして三枝成彰さんや許光俊さんら称賛した人々の評価力は本物か。ちょっと意地悪な言い方でしょうか。
オリンピックの採点競技でのメダルの行方のように、数字以外の世の中の評価は気まぐれです。長く飛んだ日本ジャンプチームがなぜ銅メダルか、早いゴールだった上村愛子がなぜ4位か、そこには“人間の思惑“と“運命”が絡んでくるのでしょう。誰かを責めても哀しい。選手は胸を張って結果を受け止めればいいし、応援する側は誇りを持って称賛すればいいのです。
人が何と言おうといいものは良い、自分の好きなきれいなものは良い。その自信と強い価値観があれば人生は単純でしょうね。

耳鼻科医としてほっておけないのは、この偽者が聴覚障害者を騙ったということです。難聴障害は、聞こえないふりをする「詐病」の危険が根元的にあります。交通事故案件や今回のような障害認定の時、怪しいそぶりをする人は何人も見てきました。そうした場合、脳波聴力検査という精密検査があるのですが、うちを含めてほとんどのクリニックでは出来ません。大病院でも出来ない場合もあります。
しかし、私たちには詐病の有無も含めて、正確な難聴の診断を下す責任があります。悪意の詐病者を診断するのに公費が原資の高い医療費がかかる精密検査を行うのは残念ですが、こうした問題をなくすために必要になります。私たちにはその判断を下す責任が発生します。
NHKのディレクターやマスコミの皆さんにもそうした責任感をお願いしたいものです。

さて、バリ島のダイビング事故もとても残念でした。
自分がバリで何度かダイビングをしたこともあり、3人の看護師さんたちがいたということもあり、とても気にしていました。7人中5人生還という奇跡はとても喜ばしいことですが、お二人の犠牲者とご家族には本当にお悔やみ申し上げます。
事故の背景にはボートの船長の未熟さと判断ミスがありました。天候不順の際の中止の判断ミス、海面の把握不足、救援隊依頼への始動ミス。プロとして完全に失格です。
私は医療者として、いつもプロでありたいと願っています。患者さんの健康を預かる者としてミスは許されませんし、トップグループの判断をしたいと思っています。そのためには勉強や努力、工夫が必要になります。努力の方法は人それぞれですが、私は誘われた研究会や講演会にはすべて参加するようにしています。そんなことかい!と言われてしますかもしれませんが、まあ、多い月は10回ほど講演を聞きます。なるべく最新の演題。それと医学文献のチェックと時々の自分での講演発表と、本当に時々の論文作成。
道は果てしなく、レベルも十分ではない部分もありますが、努力の継続が大切です。
皆さんのため、クリニックのため、自分のため。信頼できる船長であるための小さなコツコツを今日も続けていきたいと思っています。