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2010年宇宙の旅

2010/2

アバターを見ましたか?

ジェームズ・キャメロン監督渾身のSF大作。3D画面での迫力あるCG映像でも評判です。

下半身不随になり、人生を虚無に感じている車椅子の元海兵隊員が、辺境の惑星パンドラでバイオテクノロジーの力を借りて力強い若者になり、原住民の王女と恋に落ちて正義のために戦う。
結果は少し犠牲を伴うハッピ-エンド。
どうして大作SFというやつは、話を要約すると身も蓋もなくなるのでしょうか。

パンドラの大空を舞う3Dの美しさと、迫力の戦闘シーンに1800円はとてもリーズナブルな値段です。お買い得感炸裂といっていいでしょう。インディアンと騎兵隊の戦いであったり、スターウォーズのワンシーンだったり、腐海の光景だったり、過去の映画へのオマージュもふんだんに盛り込まれています。

映画のエンドロールが流れる間、根がドリーマーの私には(ハリウッドでも指折りの夢物語を目の前にしておこがましいですが)、素晴らしい映画を楽しめた満足感と、他のいくつかのアイディアが駆け巡りました。

この物語をこんな感じに変えたら別のニュアンスの映画になるぞという野心、シリーズ化するにはあんなキャラクターとこんな敵対勢力が必要だろうなという夢想、映画の中のバイオテクノロジーを、現実の科学や医療にフィードバックするにはどういう展開をしたもんだろうかという計算。

そうした思考を奮い立たせる、無数のアイディアがマグマのように熱く煮えたぎった映画でした。

いやー、ジェームズ・キャメロン恐るべし。ハリウッド恐るべし。

語り部の立場として大衆を熱狂させようとする場合に、当てはまるストーリーにはそんなに多くのバリエーションはありません。太古から人間のDNAに刷り込まれてきた、勧善懲悪物語好きな気質。その王道をはずすことなく、親子の葛藤とか、裏切りや復讐とか、受難と忍耐と不屈の精神とかのテーマを追えばいいのです。大切なのは恋愛と笑いのエッセンス。能天気なシンプルストーリーは最近受けなくなり、もう一ひねりが要求されます。

物語より面白いノンフィクションが多いのは、実際の人間は往々にしてお約束の道を外れて行動するからです。運命の女神様の気まぐれも、作られたフィクションよりもかなりダイナミックです。

ハッピーエンドがうそ臭いと思い始めた頃、少年は大人になります。それからずいぶん年月が流れた今、僕は再び、物語に幸せな結末を求めるようになりました。人の悪口やシニカルな話を聞きすぎたのかもしれません。
それとも水戸の御老公の活躍を心待ちにする遺伝子がそうさせるのでしょうか。